定期的な仕事としては、

月に一度のコトブキヤ画材店のデッサン教室があった。

控室の大きな窓からは、大分駅裏の再開発工事の様子が夕焼けに映えて美しかった。授業が終わる頃には工事中のクレーンの光や建物内部の光などが輝き、そこだけ大都会の夜景のようだった。


会の主催者は大友さんという、吉四六喋りが何ともほっこりする方である。

吉四六喋りとは何か。

大分県外の方は分からないだろうから説明すると、大分方言丸出しのおっちゃん、ということだ。

どの地域においても、その地方の方言丸出しのおじちゃんはほっこりするものだ。


時折新規の方が来るものの、大体はほぼ顔ぶれの決まった78人である。


7年もの間、月一でお世話になった教室である。皆様とはすっかり顔馴染みだった。


私が結婚が決まり、モデルの仕事も辞めることになった。

その日は最後のコトブキヤの教室だった。

授業の終わりにちょっとした歓送会を開いてくださった。

そして大友さんが、模造紙に書いた私宛の巨大なラブレターを後ろの黒板に貼り出した。


マジックで手書きの字も、1文字の大きさが赤ん坊の顔くらいあり、なんともユニークなラブレターだった。


「もでるさんいままでありがとう あなたのことはわすれません」

といったような内容で、全てひらがなだった気がする。


濱田岳のナレーターで上の文章を読む感じがそのまま大友さんの雰囲気である。


「おおお」

と思ったが、会はそのまま終わり、なんとなくそのラブレターをもらいそびれてしまった。もらいたかったのに、何となくの流れでそうなってしまったのだ。


大友さんの残念そうな悲しそうなお顔が忘れられず、今となってはもらっとけばよかったなあと思う。

「そのでっかい手紙ください!」と叫べばよかった。



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※登場人物は全て実在しますが、プライバシーを考えて仮名にしてあります。


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