美大にて油絵の授業に呼ばれた。


ポーズの合間の休憩に、1人の女生徒が話しかけてくれた。

「モデルさんも絵を描かれるんですか」


その時

「はい、描きます」とだけ答えた。別にぶっきらぼうに答えたわけでもなく、普通に質問に

答えたつもりだったが、その女生徒はなぜか怒ったように向こうへ行ってしまった。

話を膨らませようとしない私にムッとしたのだと思う。


しかしその女生徒もそれ以上質問してこなかったし、休憩の時間も限られているので、そうそう話を膨らませられないという理由もあった。

私に悪気は全くなかった。



個展を開いた時、見知らぬ若い女の子が見にきてくれた。

私は他のお客と喋っていて、ひっそり見て回っている様子のその女の子に、挨拶もできずにいた。


私の話し相手が帰ってもその女の子がまだ見てくれているので、


「今日はありがとうございます」と声をかけた。


「大分大学の〇〇です」

というので、ハテ誰かしらと思っていると、なんと私がモデルに入っている彫刻のクラスの生徒さんだった。個展案内をそのクラスの皆さんに配っていたのだが、わざわざ来てくれたのだった。


モデルのポーズ中は、変に目が合わないよう生徒一人一人をじろじろ見ることはない。


したがって誰が誰だかあまり分からない。


話しかけてくれたりすると記憶に残るが、そうでない場合はほとんど記憶にのこらない。

だから全く分からなかったがしょうがない。

女の子の方は、もちろん覚えていてくれている、と思っていたようだが。


このようにモデルと生徒の間には温度差がある。

モデル特有の事情があるのだが、悪気はまったくないのだ。



✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎

※登場人物は全て実在しますが、プライバシーを考えて仮名にしてあります。


✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎

私の普段のブログはこちら↓遊びに来てね

日々、花咲くパレット


 ポチッと押してください↓
にほんブログ村 その他生活ブログへ
にほんブログ村