美大にて油絵の授業に呼ばれた。
ポーズの合間の休憩に、1人の女生徒が話しかけてくれた。
「モデルさんも絵を描かれるんですか」
その時
「はい、描きます」とだけ答えた。別にぶっきらぼうに答えたわけでもなく、普通に質問に
答えたつもりだったが、その女生徒はなぜか怒ったように向こうへ行ってしまった。
話を膨らませようとしない私にムッとしたのだと思う。
しかしその女生徒もそれ以上質問してこなかったし、休憩の時間も限られているので、そうそう話を膨らませられないという理由もあった。
私に悪気は全くなかった。
個展を開いた時、見知らぬ若い女の子が見にきてくれた。
私は他のお客と喋っていて、ひっそり見て回っている様子のその女の子に、挨拶もできずにいた。
私の話し相手が帰ってもその女の子がまだ見てくれているので、
「今日はありがとうございます」と声をかけた。
「大分大学の〇〇です」
というので、ハテ誰かしらと思っていると、なんと私がモデルに入っている彫刻のクラスの生徒さんだった。個展案内をそのクラスの皆さんに配っていたのだが、わざわざ来てくれたのだった。
モデルのポーズ中は、変に目が合わないよう生徒一人一人をじろじろ見ることはない。
したがって誰が誰だかあまり分からない。
話しかけてくれたりすると記憶に残るが、そうでない場合はほとんど記憶にのこらない。
だから全く分からなかったがしょうがない。
女の子の方は、もちろん覚えていてくれている、と思っていたようだが。
このようにモデルと生徒の間には温度差がある。
モデル特有の事情があるのだが、悪気はまったくないのだ。
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※登場人物は全て実在しますが、プライバシーを考えて仮名にしてあります。
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