絵画モデルはやめられない

20年間、絵画モデルをしていました。謎に満ちた世界の体験を余すことなく綴っています。

カテゴリ: 犯罪物件

https://www.instagram.com/kaboss_kahorukumagae/

インスタ始めました!ミャー子のアート作家としての現在の活動状況を見ることができますよ。





コトブキヤデッサン会にてモデルをしていたときのこと。

この会のメンバーは、ほぼ決まっている。

授業の飛び入り参加はいちおう歓迎していたみたいだったが、ほとんど来なかったのでいつも来るのはほぼ所属状態の古参メンバーだった。


10年近くこの会でモデルとして関わってきたが、授業の途中で初めて飛び入りで誰かがやってきた。

というより、廊下でモジモジと教室に入ろうか入るまいか迷ってる人がいた。


先生が「どうぞ入って自由にクロッキーしてください。誰でも参加できますよ。」と親切な説明をしているのだから、安心して教室に入ってくればいいのに、その人はなぜかおどおどして入ってこようとしない。怖がるような説明でもなんでもないはずだ。


教室は明るく、廊下は暗いので、姿はよく見えなかったが体の大きさ、なんとなく見える顔立ち、雰囲気で、私は「あの中金ではないか?」と思った。

中金という男による恐怖エピソードはこちら
http://sumebamiyako.blog.jp/archives/20336077.html



そして彼は脱兎のごとく去っていった。

みんな「なんだったのかねえ」と言っている。

あからさまに怪しい。多分、中金だろう。


素直に入ってこればいいのに、後ろめたいことがあるから入ってこれないのだ。

後ろめたさで逃げ去っていく心理状態も不気味ではないか。


私は過去の恐怖体験を思い出した。

あれは随分と怪しい行動だった。

どうしよう、外は夜だ。

帰り道、待ち構えていて何かされるんではないか。

モデルとして、一度も取り乱したことがなかったのに、つい「さっきの人、変な人なんです。私は何かされるかもしれない。怖いです」とみなさんに訴えた。こんなことを言うと、皆様が落ち着いてクロッキー出来ないから絶対言うべきではないのはわかっていたが恐怖の方が優っていた。

すると親切な皆様は、ものすごく心配してくださり、なんと帰り道、私の手を握って車まで誘導してくださった。しかも2、3人で。

なんと親切な方たちだろう。

何事もなく無事に帰れたのであった。






✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎

※登場人物は全て実在しますが、プライバシーを考えて仮名にしてあります。



✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎




私の普段のブログはこちら↓遊びに来てね
日々、花咲くパレット

 ポチッと押してください↓
生活・文化ランキング


ついでに、もう一件犯罪物件を報告させていただきたい。

これはかなり特殊な例だった。


何がって、犯人の見事な勘違いぶりが。


近所の公民館で、ヌードモデルの仕事が入った。生徒さんは1人だという。


新規の生徒さんで、ヌードモデルの場合、公民館で仕事をするのが事務所の決まりになっている。

いきなり自宅に行くと、何があるかわからないからだ。


タマさんからのメールに、「中金さんという方です。初めてのお客様です。初心者なので親切にしてあげてくださいね。」とあった。

この時点では、男性なのか女性なのかもわからなかった。


しかし、大分では見たことがない随分珍しい苗字だった。


夜19時、約束の時間に公民館へ行った。

入り口で待っていると、目鼻立ちのはっきりした、大柄な、30代くらいの男性が現れた。

60代くらいの女性を想像していたので、かなり意外だった。


挨拶をすませ、教室に入った途端、不思議なことにそいつはドアというドアに椅子やテーブルを積み重ねだし、バリケードのようにした。

これがこの人のやり方なのだろうか。

あまり気にもとめず、ポーズに入ってクロッキーを始めた。


彼は初心者ということで、あまり描き方などがまだよくわからないなどと私に色々と質問してきた。

割と真面目そうな従順な雰囲気の青年だったので、私はタマさんに言われた通り、親切に気さくに答えてあげていた。


しかし、どうも質問の内容が変である。



初心者も初心者、デッサン用の鉛筆を握ったのも今この時が初めてじゃないのか?絵なんか描いたことないでしょ?という感じなのだ。


この人、何しに来てんだろ


という素朴な疑問が心に湧き上がる。


四つん這いのポーズをとれますか?と言う。しかもかなりおどおどして。

ごめんなさい、そういうのはできないんですよーと言う。


じゃあこんなポーズは?

と次々と提案してくるポーズが、どうも完全に勘違いのポーズだ。


絵を描くためのポーズではない。



一体どんな絵を描いているのか、スケッチブックを覗いてみた。


そこには、

田舎のヤンキーが公衆便所のトイレに落書きしたような「おっぱい」の絵が描かれてていた。



この人の目的は一体なんなのだろう。

するとそいつは、不思議なことを言い出した。


「僕を描いてもらえませんか?」


「は?」


モデルさんの気持ちがわかると描けると思うんで、と言う。意味がわからない。


そして、いきなり服を脱ぎ出し、全裸になり、ポーズをとり出した。


私は一体どこにいる?私は何を見ている?

驚きのあまり、一瞬、時空が歪むというものだ。


一応クロッキーしてやった。


人間には恒常性の心理というものがあるらしい。

はじめに親切に接してあげた人間には、ずっと親切でいてあげようとする。

逆も然り。

統一された自己イメージというものを保とうとする心理機能があるらしい。


それが働いたのだろう、心の中ではドン引きしていたものの、私はそいつには最後まで割と親切に接してやっていた。



変な生徒だったなぁ、なんだ、あれ。あんなのもいるんだなあなどと思いながらも、1週間ほどが過ぎたある日、タマさんから電話がかかってきた。


中金のことを聞いてくる。

「ねえ、何か変なことなかった?」


「あ、はあ。かなり変なやつでしたねー、あれは。」とあった出来事をつらつら語っているとタマさんは電話の向こうで怒りでワナワナと震え出した。

「あのね!そういうことは、これからちゃんと言ってちょうだい!何かあったら大変なことなの」と言うので、一体何があったんですか?と聞いた。



先日、モデルのリサさんが公民館で中金の相手をしたらしいのだ。


そして、M字開脚などといった卑猥なポーズを要求してきたので、大喧嘩になってリサさんは途中で帰ってきたらしい。


「あいつは絶対出入り禁止!!ミャー子、これからはちゃんと変な奴がいたら報告して」


何か変だ、と感じたら実際何かおかしいのだ。


違和感に敏感にならなければいけない。本当の犯罪に巻き込まれる恐れがある。


続く


登場人物は実在の存在ですが、プライバシー保護のため仮名にしてあります。



私の普段のブログはこちら↓遊びに来てね
日々、花咲くパレット

 ポチッと押してください↓
生活・文化ランキング


写真モデルの時は、時折おかしな男が1人は紛れ込んでいて、モデルの股の間ばかりを撮ろうと狙っていたりしている。

そんなやつのカメラには一切視線を投げない、という仕打ちで返すのがモデルの間の無言の決まりごとみたいになっている。


しかしながら美術の教室の生徒さんはほぼ皆様、実に善良なる文化市民である。
おかしな動機でヌードモデルデッサンに来ている人間など実は1パーセントもいない。

おそらく社会に溶け込んでいる凶悪犯罪者の人数の割合くらいではなかろうか。


テレビや雑誌などで時折センセーショナルに取り上げられたりしているのを見ると、その現実との乖離ぶりにびっくりしてしまう。マスコミは現実をうまいこと捻じ曲げて、ずるいなあと思う。


しかし、その1パーセントに当たったことがあった。


大分県別府市の某B大学で、ヌードモデルの仕事が入った。担当はS教授だった。もう70歳くらいのジジイだ。


油絵科の専攻科での授業だった。


S教授が指定してくるポーズというのが、なんとM字開脚だ。


どんな要求にも応えてきたが、これには流石に気がひけた。


「うーんちょっと無理です。」

というと、次に指定してくるポーズも、あそこが見えるポーズ。
かなり無理強いしてくる。


「基本的に、あそこが見えるポーズというのは多分ダメだと思うんですよね。法的に禁じられてると思います。」と答えた。


するとS教授はひどくびっくりした顔をして、

「えー!?君みたいなモデルさんは初めてだよ!!大概の人はやってくれるよ?」

という。


まるで私に非があるかのような言い方だ。


でも、無理なものは無理だ。もしかしたら、やってもいいのかもしれない。でも、自分自身の問題として、抵抗があったし、これはなんだかおかしいという違和感もあった。


結局私が頑なに拒否し、普通のポーズで授業が続けられた。


その日の夕方、タマさんから電話があった。

「あのさあ。今日ね、ミャー子のモデルぶりにクレームが入って。お願いするポーズを全て却下されて、何も生徒の要望に応えてくれなかったって言うのよねえ

と言うので、B大学であった事ありのままを話した。


するとタマさんが、


「はぁああ??なんですって??」と言う。

「あいつ!!!あのS!!!また戻ってきたの?そうよね、なんかおかしいなぁーーって思ったのよ!!!」と凄まじい怒りに満ちた声で言う。


どうやら、S教授はセクハラでかなり有名らしいのだ。


過去にやはりポーズをめぐってモデルと随分なトラブルになり、タマさんはカンカンだったらしい。

あのS教授の仕事だけは絶対入れないようにしていたらしい。

「定年で退官したから安心してたのに!戻ってきたの?許さない!!」

とカンカンだ。


「なぜ、大学側や警察に言わないのですか?」と聞くと、

「ヌードモデルも際どい職業でしょ?股を開いたらハイ、犯罪ねーってなるのよ。だから私たちも堂々と言えない立場なのよね。それをいいことに、あいつはセコイこと言ってくるのよ!!!殺してやりたいわ!!!」

タマさんの怒りは相当だ。


まあ、私の疑惑は解けた。私の違和感は間違いなかったのだ。


私は一応、B大学で馴染みの浜田教授に伝えた。「注意して欲しいんですけどぉー」と言うと、浜田教授も、参っていた。今回の件で申し訳ない気持ちは心の底からある。しかし注意したくても、複雑な上下関係があってなかなか注意ができないと言う。
 

よく考えたら、それもそうだ。浜田教授の気持ちもよくわかる。普通、上司に「セクハラはやめたほうがいいですよ」なんて言えないわな。



続く


登場人物は実在の存在ですが、プライバシー保護のため仮名にしてあります。



私の普段のブログはこちら↓遊びに来てね
日々、花咲くパレット

 ポチッと押してください↓
生活・文化ランキング


このページのトップヘ